加賀友禅作家になるまで
師事 加賀友禅の作家に弟子入りし技法を学びます。
修行 最低5年以上の修行で師匠に作家として独立するにふさわしい技量を身につけたと判断されるまで技を磨き続けます。
落款登録 加賀染振興協会の会員2名の推薦(師匠ともう1人の会員)2名が規定に従った申請書に署名して協会に提出します。これを認可されると、落款の登録と協会の会員資格が得られる仕組みとなっています。
作家として活動 加賀友禅作家として認められ作品を制作します。
加賀友禅の特徴
京友禅も加賀友禅も宮崎友禅斎が基礎を作りましたが、時代の変遷とともにそれぞれの特徴が生まれました。
加賀友禅は落ち着きのある写実的な草花模様を中心とした絵画調の柄であるのに対し、京友禅は流麗な集合配列模様を特徴としています。それは加賀の武家文化、京の公家文化それぞれの社会背景に支えられたことによると考えられます。
絵画調の柄を特徴とする加賀友禅は、写実性を強めるため、白上がりの線の太し細しの変化が装飾効果をも高めています。ボカシや虫喰いの技法もよく使われています。京友禅が内側から外側にボカシてあるのに対して、加賀友禅では逆に外側から内側に向かってボカシてあるのが一般的な特徴といえます。
彩色には加賀五彩といわれ藍、臙脂、黄土、草、古代紫の五色を基調に用いています。現代の加賀友禅作家は、加賀五彩に基づきながらも時代の好みや作家自身の個性を反映させて全体の配色を決めています。
加賀友禅制作工程
1 スケッチ 野山に行き自然の草木をスケッチして図案構成する
2 下絵 図案の上に仮仕立てした白生地をあて、「青花」(露草の花の汁)で模様をトレースします。この青花は水で濡らすと消えます。
3 糸目糊 模様がゆがまないよう「伸子」(しんし:竹の串の両端に針がついたもの)で生地を張り、下絵の線に沿って糸目糊を置いていきます。これは彩色の時に染料が、外に滲まないように防染する役割があります。
4 彩色 防染された絵柄のなかに彩色していきます。加賀五彩を基調とした数十色のもの色を調合し、彩色していきます。加賀の特徴でもある「虫喰い」のぼかしなど、たんねんに彩色がほどこされます。
5 下蒸し 蒸しというのは生地についた染料を発色させたり、染料を生地に定着させるための工程です。大きな蒸し箱に入れます。
6 中埋め 彩色した模様が地染めによって汚染しないように、もち米から作られた糊糯糊(もちのり)を糸目糊に沿って、絵柄を糊で埋め込み、被膜を作ります。
7 地染め 絵柄以外の地の部分を染める工程です。きものの地色となる色ですから平均的にむらなく、染料の乗っているところから、まだ染まっていないところの方へ、引っ張っていく作業なので「引き染め」ともいわれます。
8 本蒸し この時点では染料は生地に乗せられただけなので、定着はしていません。生地をもう一度蒸し箱に入れて、約30分〜50分程、蒸します。蒸気の水分と熱で、生地の一本一本が柔らかく膨らんで、染料の粒子が繊維の組織に入り込み染まっていきます。
9 水洗い(友禅流し) 生地に付着した糊や余分な染料を洗い流す、いわゆる「友禅流し」の作業です。以前は市内の中心部である浅野川や犀川でも見られ、金沢の風物詩ともなっていました。現在では一部を残すのみで、団地内の人口川でほとんどが行われています。
加賀友禅の証
1 「加賀染振興協会加賀友禅登録名簿」に登録されている
2 石川県で制作されていること
3 手描き友禅にあっては、次の技術者又は技法によること
1色彩及び図柄は、「加賀五彩」を基調とした絵画調とすること
2下絵は、「青花」を用いて描くこと
3糊置きには「糸目糊」を用いること
4留袖など黒地に地染をする場合は、伏せ糊をしないこと
5刺繍をする場合には「加賀刺繍」によること
経済産業大臣指定 伝統的工芸品 証紙
伝統的技術・技法によってつくられた芸術的要素を備える工芸品に対して、経済産業大臣が特別に指定したものにのみ、この証紙が貼付されます。
(協)加賀染振興協会 産地商標
(協)加賀染振興協会では、高品質保持と他産地の類似品防止のため、加賀友禅製品に必ず協会発行の産地商標を貼付しています。
赤ラベルは手描き友禅の商標です
紫ラベルは板場友禅の商標です