奈良 生駒市 帯ときものやまぐちです。
きもの文化が育まれた背景
三方を雄大な山々に囲まれ,鴨川などの豊かな水に恵まれ,寒暖の差の大きい気候のもと,四季が鮮やかに移ろいゆく京都では,自然との共生を大切にしてきた。
また,平安京遷都以来,永きにわたり都が置かれ,文化の中心地として栄えるなかで,季節感やおもてなしの心,本物へのこだわりといった精神文化が育まれ,きもの文化に浸透していった。
また,京都は,宮廷,宗教,能,祭などの装束の生産の中心であり
これらの技が,きもの文化に厚みを持たせる存在となっている。
きものを支える技・ひと
(重要無形文化財保持者等)
有職織物,友禅,羅(ら),刺繍などの技術が重要無形文化財とされており,その高度な技を体得し,精通されている方が,重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている。
また,染織繍の技は,祇園祭等の祭礼幕のような文化財を保存する技術(選定保存技術)としても選定されており,京都の祭礼文化を豊かにしている。
(伝統産業)
伝統的な技術と技法で,日本の文化や生活に結びついている製品を作り出す産業として,京都市では伝統産業74品目を指定しており,このうちの多くは,きものに関わる産業である。
○ 西陣織5~6世紀頃,豪族・秦氏が養蚕と織物をはじめたことに起源し,15世紀応仁の乱の後に基盤を築く。西陣織は極めて多種多様で,綴,経錦,緯錦,緞子(どんす),朱珍(しゅちん),紹巴(しょうは),風通(ふうつう),綟り織,本しぼ織,ビロード,絣織,紬等の品種があり,多色の糸を使用し絢爛豪華な糸使い模様の精緻さを特色とする。
○ 京鹿の子絞
10世紀初頭の宮廷内での絞り染めを起源とし,17世紀には「かのこ」の名称で広く愛用される。絹織物の生地に,多種のくくり技法と,染め分け技法を駆使した複雑多彩な模様染めである。
○ 京友禅
古くから伝わる染色技法を,17世紀後半に宮崎友禅斎が集大成したことからこの名がついた。現在,高度な技法を受け継ぐ手描友禅と明治初期に創案された型友禅がある。型友禅の出現は友禅を庶民のものにした。
○ 京小紋
起源は17世紀初頭で江戸時代の武士の裃に端を発している。明治初期より単色から彩色へと変化しながら友禅染と互いに刺激しあって技法を向上させてきた。色柄は,落ち着きのある渋さが特徴である。
○ 京くみひも
平安時代が起源とされ,帯締,羽織ひもを主に根付ひもなど80種近くの種類を生産。丸台,角台など幾つもの組台を使う手仕事で,古都の文化に培われた雅な京工芸の一つである。
○ 京繍
その起源は平安遷都にさかのぼり,貴族の繍衣繍仏,武具などに活用され発達した。絹や麻の織物に絹糸,金糸,銀糸などを用いた刺繍は多種多様な技法が使われている。
○ 京黒紋付染
喪服,黒紋付などに用いられる伝統技術である。赤や青に染めてから黒色染料で仕上げるのを,紅下黒(べにしたぐろ),藍下黒(あいしたぐろ)と呼び,それらは独特の風格をもっている。
○ 京足袋
戦前には35軒ほどあった京都の足袋屋も今ではわずかに数軒となった。生地には吸湿性のよい木綿が用いられる。伸縮性の少ない生地を用いて,足にぴったりと添う足袋に仕上げるには,高度の熟練が必要とされる。
○ その他
花かんざし,京和傘,京扇子等も,きものと関わりの深い伝統産業製品である。